人気ブログランキング |

イボイノシシの道草            2007年11月17日

ガラスとアルミとコンクリート、そして鉄骨。

d0083265_0115449.jpg 都会での季節感
 通勤途上の大阪梅田界隈。
 新しい高層ビルが次々と建設されている。見慣れたマルビルも御堂筋側からは見えづらくなってきた。少し前までは、屋上の電光掲示板のニュース速報や天気予報がどこからでも見られたが、現在はビルとビルの間からほんの少し垣間見えるだけ。

 大阪梅田駅周辺の再開発事業も、南側一帯はほぼ完了したようだ。次は駅の北側、貨物ヤード跡地の計画が実行される。
 ここ何年間、大阪(関西)は不況に喘いでいる、第3セクター方式による開発事業が殆んど頓挫して、不景気感に拍車をかけている現状だ。
もう少しすれば今撮影しているこの辺りに年末ジャンボ宝くじの売り場が設置され、人々が夢を追って殺到してくるのだが、言ってみればそれが、大阪駅前の季節感だろうか。

 大阪駅前第3ビルと第4ビルの御堂筋側に面した広場に、仮設テントが張られ毎年大勢の人々が押しかける。
 しかし会場の後方の両ビルはテナントの集まりが悪く、青息吐息である。地下のグルメ街も徐々に寂れている。パチンコ店やゲームセンター、貸し金業者が集中しているのもこのビルの特徴である。第1~4ビルまで、大阪市都市開発局が再開発事業の一環として設立したが、その思惑は大きく外れたようだ。
 ハローワークや市の関連事業者が入居、同じ場所にパチンコの景品交換所やマッサージセンターがあり、金券ショップの密集度が日本一という、滑稽な現象が起きている。
 だから消費の牽引車である若者や女性に敬遠されて、益々状況が悪くなる。大阪駅前の一等地であるにもかかわらず、ビルの中は徐々にスラム化が進行し始めている。

 鉄骨の骨組みにガラスとアルミニュームとコンクリートで、いくら立派な箱物を造って装っても、中身が伴わなければ、ある意味、無用の長物だろう。しかもこのビルの周辺には自然の息吹と季節感が感じられない。



 世界最大の木造古建築・奈良東大寺大仏殿
d0083265_0194085.jpg
 正確には、東大寺の本尊で国宝の盧舎那仏[るしゃなぶつ]を安置する金堂である。
 先日奈良へ遊びに行った時に撮影したものであるが、荘厳で美しい建造物だ。間口57m・奥行き50m・高さ48m、若草山の山麓に違和感無くそびえる。
 大阪駅前ビルと比較するのは、ちょっと無茶で無理もあるが、ここに有って大阪に無いものは自然との融合ではないだろうか。
 1200年以上の時を経て今なお多くの人々が訪れる大仏殿。参拝と観光が目的の詣でだが、四季折々の移ろいを楽しみ、自然に溶け込んだ世界一の大きさを誇る木造の大建造物を目の前にした時の驚きと感動が、人々の心を捉えて離さないのだろう。
 大きさだけで比較すれば、大阪駅前ビルがはるかに凌ぐが、私の目には大仏殿の方が大きく見えてしまうから不思議だ。
 春・夏・秋・冬・・四季の息吹を見事に取り込み、季節と同化してしまう大仏殿は、とてつもなく大きな存在であり、季節変わりの自然そのものなのだ。


 都会の季節は、人間によって演出される。
d0083265_0214348.jpg
 午後6時前に仕事を終えてビル(勤務先)の玄関を出ると、すっかり日が暮れている。
 少し前までは、同じ時間帯だと夕日がまぶしかった。並木も色づいてきたが夜空を見上げないと気付かない、落ち葉は清掃車が取り除いている。自然な季節の変化もここではあまり認めてもらえないようだ。
 ボンヤリ夜空を見上げていたら、怪訝な顔をされるのが落ちだ。

 いつも通っている通勤路の梅田地下街を歩いていると、ショップの壁に張られた横断幕。
「ああ~・・もうそんな時期だったのか・・」と、妙に納得してしまう。
 なにもなければ、なにも感じないのである。クリスマス・師走・正月・成人式・花見・・・全ての季節の移り変わりは、自然ではなく商店のコピーや飾り付けで知らされる。
d0083265_022138.jpg
 今の生活が嫌なわけでもない、都会の営みに不満があるわけでもない。楽しいことも多いし、それなりに刺激もある。
 しかし、年々自然志向が強くなってくるのは、押さえきれない。
 2~3年後には間違いなくリタイア生活に入るのだけれど、その時の自分が、現在の生活を懐かしむのか、忘れてしまっているのか、大いに興味がある。

by mahalotakashi | 2007-11-17 00:01 | mahalo@雑記