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港の中で漂流中(中丸奮戦記)       2007年4月11日

 教えたい事は山ほどある。

d0083265_1344391.jpg 配車担当者を志願して2ヶ月目に突入した若きチャレンジャー中丸君、随分形はついてきたが、まだまだ港の外へ出られそうも無い・・
 当初引きつった顔と声で応対していた電話トークも、最近は笑顔と笑い声が出てきた、進歩である。
しかし朝の電話攻勢を捌ききれるまでのテクニックはまだ身についていない。一度に3~4本の電話がかかるが1本の電話をもったまま固まる。

 代わりに受話器をとった女子事務員や先輩の冷たくウンザリした顔が一斉に中丸に注がれる。『早く終わって次の電話に出ろよ!』『なにやってんだ1本の電話にしがみ付きやがって』先輩たちの容赦ない言葉と視線が突き刺さる。

 「3本の電話(自分宛て)がかかれば、3本とも取れ!3件の相手先の重要度を瞬時に判断して順位をつけろ!3位の相手には『後からかけます』か『後からかけてください』でいい、5秒で済む、2位の相手には『このまま少しお待ちください』で1位の相手を優先してトークする、ただし手短に。」
トラブルが起きるたびに指導する。

 本人は充分理解しているのだが、行動となると中々スムーズに行かない、その辺は私も理解できている。
配車の組立て、適材適所の乗務員配置、1台あたりの売上高の均等化、週末対策、事故の防止策、やらなければならない事は山ほどある。一度に全てを把握させ教え込むことは到底無理、段階を踏みながら少しずつ覚えさせてゆく。

 例えて言えば、30階建てのビルの最上階が配車担当者の頂点とすれば、中丸は現在1階と2階の中間の階段の踊り場付近にいるようなものだ。
4~5階まで辿り着いても能力無し!と判断されて配置転換や転勤、或いは退職していった若者は数知れずいる。


 団塊の世代から見れば・・

 現在、日本国中で似たり寄ったりの現象が起きている。いわゆる大量のリタイア組が出るこの時期、次の世代へのバトンタッチ、工場では精密で緻密な職人的技術の伝承とノウハウの伝授。営業、業務、作業、医療、伝統工芸、様々な分野で技と知識が輸血のように次世代に注がれて行こうとしている。

 過当競争に明け暮れ、モーレツ社員、エコノミックアニマル、と揶揄されながらも必死で生き抜いてきた我々“団塊の世代”。ゆとり教育とやらでゆっくりのんびり、競争無き人生を歩んできた若者たち(中丸君は私の子供たちより若い28歳)との思考ギャップは大きい。

 強さと速さを求められて生きてきた人間が、優しさとゆとりで成長してきた人間にどのような形で血を分けて行けばよいのか、拒否反応が起きないか?ショックやアレルギーはどうなんだ?色々取り越し苦労をしてしまう。良い悪いは別として団塊の世代は周囲の人間に非常にナーバスなのだ、敵であり味方である人間が多すぎたため・・・


 早く港の外へ出ろ!座礁するぞ!

d0083265_1515889.jpg 所長から、新年度予算の打合せ会に中丸君も同席させるように指示があった。既に会社は彼を一人前の配車係りとして位置付けているのだ、まだ港の中をウロウロしているにもかかわらず。大波や津波が来るとき、船は港を出て沖で波をやり過ごす、港湾にいると岸壁にぶつかったり他船と衝突したりかえって危険なのだ。


俺は俺、お前はお前。

 製造業や伝統工芸の場合は、技術の習得であるからある意味目標が立てやすい、教えるほうも教わるほうも。
しかし我々の業務(配車組作業)は目に見えない部分の進歩或いはテクニックが要求される特殊な領域だ。日々やる仕事は決まっている、どちらかといえば単調で単純でもある、世界のマネーを動かす為替ディラーや株の場立ちに似てないことも無い、電話1本でお金と物を動かし利益を得ているわけで、担当者の経験と感、それに判断力決断力が大きく左右する。 時代が変化しニーズが変われば当然スタンスも変えなければならない、それが経済活動の常だ。中丸君には中丸君の個性がある、私のクローンになってもらっては困るわけだ、「私のやり方を参考に自分の領域を確保してもらいたい」これが本筋の希望である。

 小難しい話で恐縮するが、もっと単純に比較するサンプルがあるとすると、それは落語家の師匠と弟子の関係みたいなもの、話術即ち口一つでオマンマを頂く彼らの職業と我々の業務は似ている、ネタ(古典)は決まっており、弟子は師匠から様々な形で伝授される、繰り返し繰り返しネタをなぶるうちに、自分の世界(芸)が開けてくる。
 私と中丸君の関係はそのようなものかも知れない、「早く自分の芸を磨きなさい」が今一番の要望だ、いつまでも波静かな港の中で漂流しているようでは、「将来に望み無し」だ。


 先週の土曜日から週明けに自分の判断ミスと読み違えで多数の空車(仕事がつかなかった)を発生させてしまった中丸、かなり落ち込んだ様子だったがあえて厳しい言葉を投げつけた。

 「簡単に仕事をあきらめるな!空車にされた乗務員のことを考えたか?彼らは生活がかかってるんだ。100パーセントの努力をしたのか??そうでないなら明日から配車の仕事はやらなくても良い!よく考えろ!遊びじゃないんだ、1台当たりの空車の売上損失金額わかるか?お前の1ヶ月の給料に匹敵するんだ、それを3台も4台も遊ばせて、申し訳ないと思わないのか!」

 言い残して会社を出たが、これって「パワーハラスメント」に」なるんですかねえ、社長!?

by mahalotakashi | 2007-04-11 12:01 | mahalo@仕事