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嘆き・ぼやき・ため息、そして感動。    2007年3月20日

 私の勤務先のビルから東へ1ブロック離れて、「テイジンビル」がある。
元々この界隈は繊維問屋が軒を並べる「船場の商人」発祥の地、テイジンさん以外にも数々の繊維関連の会社(ビル)が建っている。
「クラボウ」「ゴーメン」「丸紅」「ユニチカ」「ニチメン」などのビルが一帯にひしめいている。そのテイジンの物流子会社で、 「帝人物流株式会社」がある。当然「テイジンビル」に入っている。1980年設立のこの業界では比較的新しい企業である。因みにわが社の創立は明治41年だ、100年を迎えようとしている。
 帝人さんとは私が大阪に赴任してからの長い付き合いだ。毎日のように電話ではやりとりしているが、滅多に顔を合わせる事は無い、たまに担当者の方とビル外で昼飯時に顔を合わすこともあるが、余りに近所過ぎて改めて商談という感じでもなく、隣に暮らす身内みたいな存在だ。

 その身内みたいな会社の、これまた兄弟のように仲良くさせてもらっているK課長から、『これから伺いたい』とアポがあった。了解の返事をすると10分もしない内に現れた、K課長以外にもう一人見慣れぬ顔の御仁が一緒だ。応接室で名刺交換をする。見慣れぬお方は同社の「物流情報サービス部の部長兼堺営業所長」であった。



「面倒みてやってください」
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 初対面の部長からいきなり頭をさげられ、少々面食らう。話を聞くと下請会社の「ウイングトレーラー」を使用しているのだが、石油の値上がりで親会社「テイジン」の生産量が少なくなったことと、ユーザー直納でロットが減少して20トン積載のトレーラーの仕事が無くなり、代わりの輸送物件も見つけられず往生している、と20分ほど嘆いてぼやく、聞くほうも暗い気持ちになる。

 『ここで見捨てるわけにもいかないので、なんとか御社で面倒見てやってもらえないでしょうか』と土下座でもしかねないほど深々と頭を下げる。一緒に来たK課長も『先輩!お願いしますよ』と悲痛な顔だ。

 いきなりの話で返事のしようもない、腕組みをして天井を見上げる。
『ふう~・・ハア~・・』と二人の口からため息が出る。なんとも言えない空気が流れる。

 確かにここ何年か繊維関係は輸送量が落ちている、元々余り手をつけていない分野だから詳しい内容は定かでないが、かなり深刻な状況のようである。多くの下請け業者を抱える物流会社が最も苦悩するパターンだ。
 嘆き・ぼやき・ため息・・担当者の苦しみもよく理解できる、心情を察する。

 しかし当方にもそんなにゆとりがある分けでもない。幸い鉄鋼関連貨物や機械製品の動きは活発だが、繊維や雑貨それに食品関係を扱うウイング車(屋根つき荷台のトレーラー)は、5台保有(専属車)しているが、連日悪戦苦闘している、屋根がついている分クレーンなどで積み込む作業には向かない、「潰しが利かない」ということだ。

正直言って厳しい話だ、おいそれとは引き受けかねる頼みである。だが二人の表情を見ているうちに、何と言うか・・心が熱くなってきた、燃えるものをなんとなく感じてきた。


 会社の実名まで出してコメントしている、決して揶揄したり冷やかしている分けではない。馬鹿にしている訳でもないし笑いを取ろうとブログ投稿しているのでもない。「帝人物流株式会社」という企業の姿勢に心を動かされたのである。

 物流業界の厳しさは身をもって経験している、正直言って「エゲツナイ」、弱肉強食の最たる現場だ、命を賭けて家族と会社のために深夜ハンドルを握る運転手達、一瞬にして仕事が無くなるのは日常茶飯事だ。
 我々の会社も超大手と言われる製紙会社が最大の顧客であるが、その企業の合併、併合の度に渦巻きに小船が巻き込まれるような、苦しい辛い経験を幾度もしてきている。
ある日突然、それまで月間2000トン(トレーラー100台分)もあった輸送貨物が工場合併により輸送の必要が無くなったと言う理由で停止されるのである。元請である我々もそれが当たり前のように下請け業者に明日から仕事が無くなったことを、冷酷に伝える。もう20年も30年も前から、勝ち組と負け組みの仕組みがこの業界では当たり前の事になっている。

 その輸送のために何千万円を投資して揃えた、トレーラーやトラックが一夜にして使い道が無くなるのである。なんの保障も援助もない、ひどい時は電話1本で通告されることもある。残酷な話だ。
つい最近話題になった、「不二家」事件、不祥事により大変な数の従業員や小売店が被害を被った。テレビなどで何回も放映されたからご存知の方も多いだろう、でも色々チェックやウオッチングしたが製品を運ぶ輸送業者の戸惑いや苦しみを取り上げた報道機関は一社も無かった。(小売店には一定の補償金が出たようだが・・)
 雪印事件の時もそうだった。

 そういうエゲツナイ業界で、下請けさんを助けようとなりふりかまわず頭を下げる帝人物流の二人の管理職の姿に感動したのである。

 「分かりました!なんとかやってみましょう、中距離専門の輸送から始めればなんとかなるでしょう」と答えた。『ありがとうございます!これで希望が湧いてきました!』と、少年のような顔をして喜ぶ部長と課長。

 途中で勉強のために同席させた配車見習い中の中丸君の髪の毛が、静電気を受けたように、フワア~と逆立つ、強張った表所の中丸君とは対照的に隣のビルの住人は喜び勇んで帰っていった。

 だいじょうぶですか・・・という表情で私を見る中丸青年。


「分からんが、心を持てば、なんとかなるさ!」

by mahalotakashi | 2007-03-21 01:26 | mahalo@仕事