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王子製紙が北越製紙に対するTOBを断念。

王子製紙の真の怖さが解るのは、これからだ。

日本初の大企業間における敵対的TOBとして注目された今回の出来事、
王子製紙が北越製紙に対するTOB(株式の公開買い付け)を断念したことで、
一件落着。
新聞各紙では社説等で好意的に評価している。
M&A(企業の合併・買収)に対するアレルギーが強い日本の企業社会で、
産業のあり方を問うM&Aが正々堂々と展開されたことは意義がある。等々。
 
 まるで三文オペラのごときライブドアVSフジテレビの攻防のときの報道姿勢
とは違う冷静な見方で始終したのも、実は国民の関心が余りにも低すぎると
のマスコミの判断であったことも否めない。

王子製紙は国民の注目する中で、堂々と論陣を張った。
所謂ホリエモンの思いつき発言や、村上ファンドの捩れた弁論とは次元の違う
練りに練った強靭な提案を突き付けたのである、北越製紙のみならず。
政府・マスコミ・業界にだ。

今回の王子製紙の動きの根底には、以前にも述べた通り、中国の脅威と
動き出すであろうロシアへの先制攻撃的なグローバルな戦略があったと
推移される。(穿ち過ぎであろうか?)

日本国内での需要の拡大はこれ以上望めない状況の中、海外への進出が
不可欠だ。

老巧化した工場や抄紙マシーン(設備)を廃棄し、新鋭の設備にリニューアル
する必要性が最優先される。
北越製紙を経営統合することができれば、王子製紙のこれら古びた設備を
北越製紙の最新の能力に匹敵する部分での帳合が可能となる。
しかし、北越製紙は首をふった。
王子製紙は今後独自に競争力の強化策に取り組むであろう、
誰憚ることなくだ。
これにより、日本の製紙業界全体で供給能力が大幅に拡大されることになる。
国内の生産能力は異常に拡大し、価格競争の激化は必至となる。

体力のない中小製紙メーカーはたちまち倒産、廃業に追い込まれるであろう。

これが、王子製紙の第二のシナリオだ。

王子製紙からの提案を拒否した北越製紙の経営陣の判断は、最良の選択で
あったのか?

TOB阻止のために、三菱商事に実施した第三者割当増資が事実上の防衛策
となり、日本製紙の北越製紙株の大量取得も含めて、王子製紙の買収策を
完全に阻止した。
 しかし、北越製紙側は喜んでばかりはいられない、独自性を維持できたとは
言え、今後大株主となった三菱商事や日本製紙の意向を無視するわけには
いかない。
 三菱商事への第三者割当増資の株価にも一部マスコミや専門家から問題と
指摘されている、王子製紙が提示したTOB価格を大幅に下回った値段で実施
したのは、株主平等の点から疑念が残るからだ。
 北越製紙の経営陣が大きな責務を負ったことになる。

王子製紙の提案を上回る実績があげられるのか・・疑問が残る。

これだ、王子製紙は大手を振って、フリーハンドで改革を進められる。
世間は、王子製紙を、少なくともではないと認めた筈だ。

王子製紙株式会社は、我輩が勤める会社(運輸業)の
最大の顧客である、正直に言って殺生権を握られている。と言っても
過言でない。
ゆえに、その動向は一般の人に比べて異常な関心事であることは否めない。

王子製紙の第3第4のシナリオは、想像もできない。

しかし、しっかり見つめ観察を続けていきたい。

入手できた情報は差し障りのない限り、リリースしていきたいと思っている。

by mahalotakashi | 2006-08-31 22:06 | mahalo@仕事